トップ > 健康・福祉 > 健康・医療 > たるみず元気プロジェクト > 健康チェック派生事業 > NexMo(みんなで健康長寿) > NexMo第8回(令和3年3月号)
更新日:2021年3月13日
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鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
心臓血管・高血圧内科学/講師/窪薗琢郎
新型コロナウイルス感染症は、人類が初めて経験する未知のウイルスであり、全世界を混乱に陥らせました。中国武漢から始まって約1年が経過しておりますが、現在でも様々なことに注意しながら生活しなければなりません。
これまで7回にわたって新型コロナウイルス感染症に対する予防対策、効果的な運動や栄養摂取の方法など、専門の先生方から多くのアドバイスをいただきました。ネクモ最終回となる第8回では、新型コロナウイルス感染症時代だからこそ気を付けたい生活習慣ついて、これまでと重なるところもあると思いますが述べてみたいと思います。
新型コロナウイルス感染症への対応には「3密」を避けることが重要であると様々な方面から指摘されています。その言葉通り、多くの人が人込みを避けるようになり、外出の機会も減っております。そのために、自宅にいる時間が増え、運動習慣や食事摂取の状況も変化しています。
ロックダウンを余儀なくされたイタリアの報告によると、18歳~49歳までの女性において、ロックダウンにより、23%が運動をやめてしまい、80%が体重増加をきたしたています。また、図1に示しますように、野菜、果物、豆類の摂取量が増加しているという好ましい変化が見られるものの、アルコール摂取量や赤肉(加工肉)、甘味料(菓子)、砂糖入り飲料の増加や魚類や水分摂取量の減少といった好ましくない変化も見られました。全体的に見ると、カロリーや脂肪分の摂取増加につながっているようです。
新型コロナウイルス感染症による活動量の低下や自宅内生活の増加による食生活の変化により体重増加をきたしていることは、その他にも報告されています。運動不足の解消、バランスに配慮した食事が大事になってきますので、これまでに掲載されたネクモを再度ご確認いただき、明日からの健康習慣につなげていただければと思います。
睡眠障害は、さまざまな病気につながることが明らかとされています。男性において睡眠時間が7時間に比べて4時間以下では、脳卒中による死亡が1.56倍高率であったと報告されています。
また、睡眠不足は、糖尿病や肥満の発症率を増加させますし、睡眠時間と前立腺がんや乳がんの罹患率が関係していると報告されています。睡眠不足により疲労感を感じやすくなり、精神状態が不安定になりうつ病や認知症といった精神疾患の発症を高めることも分かっています。
以上より、十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとることにより病気の発症を予防できると考えられます。
令和元年度に開催された「たるみず元気プロジェクトの健康チェック」で、睡眠に関するアンケートを実施しています(図2)。
ほとんどの方が8時までに起床されていますが、23%の方が就寝時間が24時以降と遅く休まれておりました。あまり眠れない17%、寝つきがよくない21%と比較的多く含まれ、せっかく眠れても寝ている途中で目が覚める方がなんと67%もいることが分かりました。以上を考えると、多くの方が必ずしも良好な睡眠状況であるとは言えないようです。それに加えて、新型コロナウイルス感染症により、家族や友人、近隣住民との接点が少なくなり、慢性的にストレスが溜まってしまい、感染や生活の不安が高まっている状況を考えると、これまで以上に睡眠時間が十分確保できず、睡眠の質も低下している可能性があります。
それでは、より良い睡眠をとるにはどのようにすれはよいのでしょうか。
最も大事なことは、規則正しい生活を送ることです。快適な睡眠を得るためには、布団に入る時間や食事の時間などをなるべく一定にすることが大切です。また、定期的な運動を行うことがよりよい睡眠に役に立ちます。さらに入浴は、心身をリラックスさせ、眠気を生じやすくする効果があります。体内のリズムを整えるには、朝日を浴びることも役に立ちます。朝目覚めたら、自然の光を部屋の中に取り込むとよいと思います。一方、自宅にいる時間が長くなると、スマートフォンやパソコンを見る時間が増えてしまいます。それらは、神経を高ぶらせ眠りを妨げることがありますので注意しましょう。
また、コーヒーや緑茶などカフェインの入った飲み物を寝る前に飲むことは避けるようにしましょう。
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